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東京都近郊を相棒のBRIDGESTONEの電動アシスト自転車でサイクリング。訪れた場所を散策します。

【東京都写真美術館】コレクターアーティストに向けたアート作品収蔵の哲学と断捨離の考え方

恵比寿ガーデンプレイス内に組み込まれた「東京都写真美術館」。

近年のフィルム写真の人気を追い風に、20代のお客様が目立ちました。

また 外国人観光客も多く、併設のカフェでは写真集を見ながらくつろいでいました。

 

こちらでは、2023年夏から秋にかけて、同時に3つ位の展示会が行われていましたが、今回は地下2階にある小さめの展覧会に行きました。

ぐるっとパスを利用して、実質無料で入場できました。

 

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大島渚監督の売れる前の作品が展示

写真だけではなく、大島渚監督が出世作を作る前の前衛的なアート映像が流れていました。どうやら政治的なメッセージが多分に含まれているようで、当時は賛否があったようです。

 

今ならSNSで炎上騒ぎになっているかもしれませんが、1970年台は若者が政治改革のために革命を起こすのがブームでした。

世界各地で起きた若者の暴動やデモのブームは日本でもあったようです。

その当時の時代にもれなく乗っかっていた大島監督の若い頃が伺えました。

 

 

美術館地下は無名の写真家の作品がたくさんある

無名っぽい人の写真もたくさん飾られていて、1番驚かされたのは、おそらく展示した人の故郷である広島にある商店街と交差点を一定角度から撮った定点写真を100枚ぐらい並べただけの作品でした。

大きな紙に、フィルムの写真を一定間隔で貼り付けてあるだけのシンプルな展示 スタイルです。おそらく商店街の人が撮ったのではないかと想像しました。

 

正直言って、私の地元でもなく、見たこともない商店街の交差点の写真を100枚ぐらい見せられても何の思い入れもないため、全く興味を持って見ることができませんでした。

ただ、この展示を見て、大切な学びを得られました。

それは・・・

「この程度でも量があれば写真展示してもいいんだ!」ということです。

衝撃的な事実と勇気をいただけたので、自分も気軽に何かやってみようと思えました。

 

実家の写真を掘り起こそう

近年、実家の整理をしたのですが、私の両親は写真がとても好きだったので、膨大な数の写真が出てきました。

それをたくさん並べれば、私も展示会に出せるんだなと思いました。

 

そう思い立ち、美術写真の展覧会をするための方法を調べたところ、会場レンタルする費用が莫大とわかり、そんじょそこらの一般人はこんなに有名な美術館では展示会を開くことができないことを知りました。

つまり、写真美術館で謎の定点観察的な広島の商店街の写真を展示していた方は、すでに一般人ではないのかもしれないなと思いました。

お金がなくても写真展示会はできる

お金に困っているけど、展覧会を開きたい人は、ネット上でデジタル展覧会ということができるそうです。

見てくれる人は少ないかもしれないけど、それでいいような気がしてきました。

宣伝の仕方によっては、リアル美術館で展示するよりも世界中の人に見てもらえるかもしれませんね。

 

アートは発表することに意味がある

芸術家の作品を見ていつも思うのは、無名か有名かではなく。上手か下手かでもなく、発表することに意味があるんじゃないかと感じました。そこには金儲け度外視の発想が裏打ちされています。

 

ただお金儲けに特化するアートは、有名人に越したことはないでしょう。有名な人が発表している作品を見ても、「これなら俺でもできる」と感じた人は少なくないはず。

つまり、有名な人が発表するから、価値が上がっている作品もてんこ盛りにあるのです。

 

高いコレクター力があれば誰でもアーティストになれる

以前、横尾忠則さんの展覧会に行った時に 横尾さんが趣味で集めた各国の滝ポストカードを壁全体に貼り付けている部屋がありました。しかしそこは素人と大違いです。ただ、貼り付けただけだと普通すぎるので、暗い部屋に滝のカードを貼り付け、床全面に鏡を貼付けていました。

そうすることでその薄暗い部屋に入った人は、滝の底に落ちるような恐怖感を感じられるのです。 横尾さんもその部屋に入った時、怖くて入れなかったそうです。

 

そのポストカードを見た時も、先程の広島の定点写真を見たときと同じ感想を思いました。

素人だったらゴミと思ってしまうようなものも、何千枚も集めて並べれば、アート作品になるんだ!と、全く同じ感想を覚えたのです。

 

浅野忠信さんのイラストも同じ

 

俳優の浅野忠信さんがチラシの裏や買い物でもらった紙袋に鉛筆やボールペンで子供が描くようなイラストをたくさん描くのが趣味で、その膨大ないたずら書きのようなイラストを所蔵して、ある時展覧会を開催していました。

 

数枚だったら見向きもされませんが、落書きアートも1000枚以上、集めれば立派な展示になるのだとその時も驚きました。

 

大抵の人は自分が書いたいたずら書きはさっさと捨ててしまいます。一般人と違う感性を持つ人は保存状態よくため込みまくれるのも共通点なのかなぁと思いました。

 

また、溜め込めるスペースがある大きな家にすんでいる人であるのかもしれません。

 

 

ラクタも集めればアートになる

興味のない人から見て、ゴミにも思えるたくさんの紙を保存状態よく何十年も家で持ち続けているのも才能のなんだと思いました。

 

プロのコレクターの必須条件は、膨大のガラクタを状態よく長期間保管できるスペースを持っていることだと思います。

 

私の場合は何年も住んでいない大きな木造の空き家にガラクタを突っ込んでいたため、ほとんどが保存状態が悪く、カビが生えて臭かったり、シミや黄ばみで色あせてしまっていました。

 

保存できる大きな箱はあっても、湿気が多くてカビが生えやすいので、ただ大きなスペースがあっても意味はありませんでした。

私はそういう意味では収集アーティストにはなれません。実物のものを長期間保存することにエネルギーを費やしたくないからです。

 

私はどちらかと言うとどんどん引っ越しをして、自分が住みたいエリアや家に移動していく方が好きです。

プロのコレクター路線のアーティストになるには、何十年も同じ場所に住んでいる方が向いていそうです。と同時に大きな保管場所が必要です。ある程度時間とお金がある人にしかできないかもしれません。

もっとお金がある人は室温管理とセキュリティー万全なアート作品を収蔵するレンタルボックスを借りる財力が必要でしょう。

 

いずれにしてもコレクターアーティストになるには、その人の生きる哲学が反映しそうです。

私は断捨離が好きなので、やっぱり収蔵系アーティストは無理かな。古くて必要のないものはさっさと捨てて、現実と未来のためにアップデートを繰り返していきたいです。

 

自分の生き方を考え直すには時々写真展へ足を運ぶのも良いですね。

 

ありがとうございました。